うつ病で苦しんでいた頃、僕は毎日「消えてしまいたい」という気持ちと「まだ生きたい」という気持ちの狭間で揺れ動いていました。
何かしたいのに何もできない中、そんな矛盾をノートに書き出すことが、唯一できることだったんです。
最初は自分を守るために書いていましたが、それを公開すると「共感しました」と声をかけてくれる人がいました。
それは、自分のための言葉が、誰かの心にも届いた瞬間でした。
もし今、あなたがあの時の僕と同じようにしんどさを抱えているのなら──
矛盾した気持ちをそのまま言葉にしてみてほしい。
整っていなくてもいい、そのいびつさこそが人の心に跡を残すのです。
目次
人間は矛盾のかたまり
僕は人間の心って、本来ゴツゴツしていていびつなものだと思います。
たとえば、
「痩せたい」と思っているのに夜中にポテトチップを食べてしまう。
「誰かを幸せにしたい」と願いながら、心のどこかではその人の不幸すら望んでしまう。
僕自身も、
「死にたいのに諦めきれない…!」
「働きたくないけどお金は稼ぎたい…!」
「他の人は成功しているのになんで自分はダメなんだ…」
といった矛盾した感情を抱えて生きてきました。
こんなふうに人間は矛盾だらけ。
だけどそれが人間の“本当の姿”なんだと僕は思います。
人間らしい文章は矛盾や葛藤を含んでいる
では「人間らしい文章」って何でしょうか?
僕はそれは、“矛盾や葛藤がにじんだ文章”だと思っています。
きれいに整った、何の引っかかりもない文章はたしかに読みやすいかもしれません。
でも、つるつるしたボールを転がしても、地面には何の跡も残りません。
想像してみてください。
辞書や取扱説明書を読んで涙を流す人はいませんよね。
でも小説や漫画を読むとなぜか心が動かせられる。
それは人間の心情が文章によって表現されているから。
こんなふうに、本当に心に残るのは、岩のようにゴツゴツして、少しいびつな形をしているものです。
だから文章を書くときに大切なのは、まず「いいカッコをしない」こと。
正しいことや立派なことを書く必要なんてありません。
「思ったこと、感じたこと」をそのままに、ありのまま書けばいいんです。
文法や表現のきれいさは、後から整えれば十分です。
矛盾を言葉にしてきた体験
僕はうつ病になり、外で働けなくなった経験があります。
その頃は本当に毎日が苦しくて、「消えて早くラクになってしまいたい」という気持ちと、「まだ生きたい」という気持ちが入り混じっていました。
そんな矛盾した気持ちを整理するために、僕はノートに毎日自分の想いを書き出すようになりました。
「死にたいのに諦めきれない」
「他の人は成功しているのになんで自分はこんなにダメなんだ」
そういった葛藤を言葉にすることで、少しだけ自分の心が軽くなったんです。
最初は完全に「自分のため」でした。
人に見せるつもりもなく、ただ毒を吐き出すように書いていました。
それでも「共感しました」と言われた
けれど、その文章をブログに公開してみると、思いがけない反応がありました。
「すごく共感しました」
「自分だけじゃないんだと救われました」
こんなコメントが届いたんです。
驚きました。
自分のために書いた言葉が、他の人の心にも届いていたんです。
家族や友達ではなく、顔も名前も知らないし、どこに住んでいるのかも分からない人に。
しかも、それは「役に立つ情報」や「正しい知識」ではなく、矛盾や葛藤といった感情をそのまま出した文章でした。
そのとき気づいたんです。
自分が弱さや矛盾をさらけ出すことは、決して恥ずかしいことではない。
むしろ同じように苦しんでいる人にとっては、それが安心や救いになるのだと。
書くことが「自己救済」と「他者支援」をつなぐ
書くことは僕にとって、自分を救うための手段でした。
でも今では、それが誰かを支える手段にもなっています。
「悩んでいるのは自分だけじゃない」
「同じ気持ちの人がいる」
そう思えるだけで、人は少し生きやすくなるものです。
そして、読んでくれた人から「ありがとう」と言ってもらえたとき、僕自身も「自分の存在が誰かの役に立った」と実感できた瞬間でした。
「こんなダメな自分でも『役に立ったよ』って言ってもらえるんだ」って、涙が出ました。
苦しんだ過去が無駄ではなかったと思える。
それが僕にとっての“大きな救い”になっています。
今は「誰かの役に立ちたい」という気持ちが強い
あれから10年近くが経過しました。
うつ病も寛解し、今の僕は「誰かの役に立ちたい」という気持ちで文章を書いています。
もちろん、役に立つことで「ありがとう」と言ってもらえたら嬉しい。
そして、その発信が収益につながればなおのことありがたい。
「ありがとう」と「お金」の両方があるから、発信は続けられるし、さらに多くの人に届けられると思っています。
これは単なる自己満足ではなく、持続可能な発信の形だと僕は信じています。
最後に
人間は矛盾のかたまりです。
その矛盾を解消しようとせず抱えたままでいいし、むしろ言葉にして出してみることが大切です。
きれいに整った言葉じゃなくていい。
矛盾や葛藤をさらけ出す文章こそが、人の心に跡を残すんです。
僕は最初、自分のためだけに書いていました。
けれど今では、その言葉が誰かの救いになることを知りました。
だから、あなたも思ったことをそのまま言葉にしてみてください。
その言葉はきっと、自分を癒し、そして誰かを支える力になるはずです。